なぜ不況はまだ来ないのか?(8/10/23)
- Mary Oakley
- 2023年8月10日
- 読了時間: 4分
なぜ不況がまだ来てないの?Twitterやニュースを見てるとやれ消費者は頭打ちだの産業が急減速だの、不況が迫ってる情報ばかり。債券相場も逆イールドで不況を想定してる。でも株価は上がり続ける。なぜか?今日はこれだけ期待された不況がなぜまだ来ていないのか、不況はいつ来るのかの考察。
今年の年初、ほぼ100%のエコノミストやストラテジストが23年の不況を予想していた。歴史上稀に見る1年間で5%の利上げの後に不況がこないはずはないと誰も思ったから。
さらに歴史的に100%の不況予想率を誇る10年マイナス3ヶ月の逆イールドカーブや景気先行指数もガッツリ不況を予言してる。
だから、今回のこの「まだ来ていない不況」は歴史上最も「期待された不況」と言われてる。

でも株価は下がるどころか上がり続け、GDPの成長率予想も徐々に上がりつつある。CNBCの直近のサーベイではついに今年のマイナス成長予想はプラス成長に変わった。

なぜ不況はまだ来ていないのか?過去百発百中の逆イールドや景気先行指数はなぜ今回は当たらないのか?
よく言われるのは利上げが経済に与える影響にはラグ(時差)があるという事。それも一理ある。
でも私が思うに前回の2008年の不況(コロナ不況は私はカウントしてない)以来、経済の仕組みが変わってきているのもおそらくかなり影響してる。 大きく変わったと思うのは主にふたつ。1)金利に敏感な産業が経済に貢献する割合が減った。2)金利が上がって得する企業や消費者が増えた。
まず1)アメリカ経済がサービス主流になったのはここ30年の話。1990年のアメリカの産業はまだまだ製造業が主だった。 それが今では76%以上がサービス産業。

FEDの利上げや逆イールド、景気先行指数に基づく不況予想は全て経済が金利に敏感に反応することを前提にしてる。
でもサービス産業は製造業に比べて金利にそれほど敏感じゃない。
在庫や店舗、オフィスや工場など実在資産に資金を注入しないとならない旧経済に比べて最近の経済はソフトウェアやノウハウ、リモートワークなど、主な資産は人的資産や知的資産であり、実在資産はいらないので、借金はそれほど必要ない。
借金の少ないビジネスなら金利を上げられても業績にはあまり影響しないのだ。
さらに2)2008年以降、消費者や民間企業の借金(レベレッジ)はかなり下がったが、逆に政府のレベレッジは鰻登りに上がった。私が思うに民間の借金が政府に移ったのだ。
2008年以前、MMFは民間企業のコマーシャルペーパーや銀行間のリポなどが主流だった。それが今ではほとんどのMMFは短期国債だ。
これはどういうことか?金利が上がって困るのは政府であり、民間ではない、という事。逆を言えば、民間はコロナ後、ダブダブに余ったお金が今はリスクフリーで5%ももらえる状態になり、ウハウハなのだ。
つまり、昨年末、私を含め、不況を予想していた私たちは、この「金利にあまり影響されない」経済シフトに気づけていなかったんだと思う。
これはとても怖いこと。だって、政府が持つ、経済やインフレをコントロールする最大の武器である「金利」の威力がかなり弱ってしまったことを意味するから。
もし今後、経済が停滞した時、金利を下げても経済は活性化しないかもしれない。もしまたインフレが再炎した時、金利を上げてもインフレは鎮火しないかもしれない。
しかも金利が高止まりした場合、政府の赤字財政はどんどん悪化する。すると将来、インフレになり悪循環化する可能性もある。
今後、いつ不況が来るのか私には分からない。でも来るとしたら今年ではなく、来年かそれ以降だと今は思う。
キーとなるのは消費者の行動だろう。今の経済は予想以上に強い消費者行動に支えられてる。
これはまだ半分残っているコロナ後にばら撒かれたお金のせいなのか、上がり続ける株式市場の資産効果なのか、それとも歴史的に低い失業率のせいなのか?おそらく全てだろう。
ばら撒かれたお金が底をつき、株相場が停滞し、失業率が上がり始めたら消費者は消費行動を変える。
それまでにAIによる企業効率の劇的な進歩が達成できていればAIが経済を引っ張ってくれるかもしれない。
でもいずれ不況は来る。その時、金利を下げても経済はあまり活性化しないかもしれない。金利を上げてもあまり停滞しなかったように。
経済も相場も思ったようには動かないし、起こった後の分析はできても事前に的確に予想することは不可能。私たちにできることは今起こっている事を偏見なく分析し、受け入れ、迅速に対応することだけ。








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